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【歌うのが辛くなったときに・・・】

《演奏者の為の心理学》

歌うのが辛くなってしまいましたか?
聴くだけならば、楽しかった音楽も、いざ演奏する、となると色んな面を表します。
失敗、挫折、嫌悪、悪評などなど・・・・
クリエイティブなエネルギーはとても繊細で、ちょっとしたメンタルの揺らぎでも、
損なわれてしまうときがありますよね。
私にも色んな、失敗、挫折、後悔があります・・・。
でも歌うのが辛くなってしまったら、なかなか良い歌は歌えるものではありません。
でもちょっとした心理学的なイメージを持っていると、切り替えられる事だって・・・
少なくありません。
ここをクリックしたあなたはそれだけでも、
何かを切り替えようとした一歩を踏み出していることになります。

演奏の心理、少しずつ整理しながら心理学的に探ってみませんか?



・演奏で失敗してしまった・・・。

・演奏への不安

・コンプレックスが強くて・・・

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・演奏で失敗してしまった・・・。

演奏で失敗してしまって、なかなか立ち直れない・・・。
試験やオーディション、コンクール、演奏会。
演奏していると、自分の納得のいかない演奏をしてしまったり、
考えられないようなミスをしてしまったり・・・。
演奏家はおよそ、失敗する生き物です。
どんなに有名で素晴らしいプレーヤーでも生涯に一度も失敗しないプレーヤーはいません。

人は失敗したら、それを何かしら考えて原因を解釈しようとします。
これを心理学では原因の帰属、と言います。
帰属は

・内的帰属
・外的帰属

の二つに分かれます。
内的帰属は原因が自分にあるのではないかと考えるタイプです。
「自分の練習量が足りなかったから失敗したんだろうか・・・」
「集中力が乏しいからこんなことになったんだろうか・・・」
「体調の整え方や練習のペースが悪かったんだろうか・・・」
「あがり症なのがいけないんだろうか・・・」

などなど、責任が自分にあると考え、深く落ち込みます。
また立ち直るにも長い時間を要するのが特徴です。
長い時間を要するためか、
同じ失敗を繰り返しづらくなります。
落ち込むこと自体が悪いわけではありません。
こうして心が失敗しないようにバランスを取ってくれるようになることもあるのです。

外的帰属は原因が自分以外の外部にあると考えるタイプです。
「伴奏者が変な音を出したからだ。」
「自分の嫌いな人と一緒の楽屋にされたからペース狂ったんだ。」
「ホールの響きが悪いから調子がおかしくなった。」
「指揮者の棒が分かりづらいから失敗したんだ。」

などなど
自分以外の何かが悪かったからからだと考えます。
あまり深く考えないことが多いため、
切り替えが早いのですが、
考えない分、
同じ失敗を繰り返しやすいのが特徴です。
とは言っても何か他人と衝突することがあっても、
相手がたまたま機嫌が悪かったんだろう、と考えたりして、
流せてしまう事も多いのです。

こうした二つのタイプの帰属のどちらかで落ち込み方も違いますよね。
自分が内的帰属だな、と思う人は、落ち込んで自分を深く見つめて見るのも
悪い事ではありません。
立ち直ったときには、成長が待っている、といえる訳です。
冷静になれば、人は内的帰属、外的帰属、両方をバランスよく取って、
上手く立ち直りながら成長していく事だってできます。
老子の言葉で「天は人に何かを与えるとき、まずその人を苦しませる。」
というものがありますが、こうした心の働きを表しているかもしれないですね。


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・演奏への不安

演奏家は演奏の前になると不安や恐怖感を感じることがあります。
また、演奏だけでなく、周囲の人たちとの人間関係でも
大きなストレスを感じることがあります。

このストレスも実は絶対に悪いもの、とは言えないのです。
ストレスは大きく分けて3つに分類されます。

・物理科学的ストレス(騒音、暑さ、寒さ、臭いなどなど)
・生理的ストレス(病気、過労、飢餓感など)
心理・社会的ストレス(人間関係や演奏のプレッシャーからくる不安、恐怖、緊張、怒り、不満、葛藤など)

演奏家が最も感じるストレスは心理的・社会的ストレスと言えそうですね。
ここで面白いデータがあるのですが・・・
赤ちゃんにライオンやサメを見せても恐がらない、という実験結果があります。
恐怖感は後から学習して得られるということが分かってきました。
人は様々な危険を知ってから、その対象に恐怖感を覚えるようになるというわけです。
確かに歌い手でも恐いもの知らず、という時期があります。
例えば若い歌手は、体力もあり曲に対する経験もあまりありませんから、
自分の実力を超えるほどの曲も恐がらずにどんどん歌ってしまったりします。
一度練習してその難しさを知ったり、本番で失敗してみたりして、初めてその曲の恐さを知って
本番への恐怖感を感じるようになってくるのです。
不安や恐怖感からピリピリしている人は、周囲の人とも人間関係がうまくいかなくなったりする時期も
でてきたりします。

ここでストレス、ということが問題になってきます。
こうした不安・恐怖といったストレスはまるで悪者のようですが・・・
例えば
人間はお腹が空いたときにストレスを感じなかったら餓死してしまいます。
ストレスはある意味では必要があって存在している部分もあるというわけです。
マウス実験でマウスにストレスを与えて、それを克服したマウスの脳内では
ノルエピネフリンと言う
気分を良くする物質が検出されるのだそうです。
演奏家もこうした曲に対するストレスを与えられ、それを成し遂げた後には、爽快な達成感を味わいます。
お客さんが喜んでいる顔を見たら、脳内にもきっとノルエピネフリンが大量に分泌されているのです。
お金にならなくて、辛いことも多いのにお客さんの拍手喝采を聞いた喜びで歌手をやめられない、
という人も多いですよね。
ストレスとノルエピネフリン、これが一対の関係となっているのが演奏家の面白いところなのかもしれません。
よく社会生活でも仕事の出来る人は時間を作ってでも趣味に打ち込むと言います。
こうしたノルエピネフリンを分泌させる趣味を持っている人はストレスとも上手く付き合っていける、
という事になるのですね。
演奏は素晴らしい職業、趣味の一つ、といえることかもしれません。
他にもストレスとうまく付き合う方法としては睡眠を多めに取る、他人に相談する、などが有効だそうです。
女性ではストレス解消に甘いものを食べる、という人もいますよね。
これは、小さい頃に泣いていると、お菓子などを与えられていた記憶が原因ではないか、と言われています。
また演奏後の自分の為にご褒美を自分に用意するというのもストレスを軽減するのだそうです。
演奏会後のビールが美味いだろうな!なんていう想像をするとストレスも良い緊張感に変わるかもしれませんね。
ストレスとうまく付き合って、素晴らしい達成感を味わえるようにしたいものですよね。



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・コンプレックスが強くて・・・

人は誰しもコンプレックスを持っています。
精神分析学者アドラーは
「人間であると言うことは自分が劣等であると感じることである」
と主張したほどです。
容姿、財力、特技、運動神経などそれは様々ですが・・・
演奏する人もまた自分の演奏に関して、コンプレックス(劣等感)を持つものです。
音色、技巧、音楽の構築力、ソルフェージュなどなど・・・
得手不得手は、皆持っていて、何かしらのコンプレックスを感じます。
一つのことに成功を収める人は、こうしたコンプレックスを克服した人だと言われます。
コンプレックスをカバーするような行動を心理学では「
補償行動」と言います。

イタリアの偉大なテノール歌手、エンリーコ・カルーゾは初めの頃は声量が小さく「そよ風のような声」
と言われてしまうほどでした。
そこでカルーゾは骨の共鳴力や横隔膜の使い方を工夫して、豊かな声を手に入れ、
「歌劇王」という称号を手にしてしまったのです。
日本で、プロ野球の王貞治氏も、打者でデビューした頃のあだ名は「三振王」でした。が、
日本刀で紙を切る特訓で一本足打法を編み出し、世界のホームラン王となったのは有名な話です。
こうした
補償行動はコンプレックスがバネとなって起こり、その人を成長させた、と言えます。

人はコンプレックスに向き合うのは大変なもので、うまく対処できない場合、心が防御の為に、
コンプレックスに目をつぶったりします。
過剰な防御反応を起こすと、「優越コンプレックス」を起こすことがあります。
自分が出来ないこと、理解できないことを無価値と断定したり攻撃したりする事で無理に優越感を
得ようとするもので、
まやかしの優越感なのです。

例えば声量に自信のない人は声量のある人の歌を聴いて
「声が出れば良いというものじゃない!」
「ムラがあってヘタクソなくせに!」
「歌心がない!」
などと批判的になり過剰に自己防衛しようとすることがあります。
人のすることにケチをつけてばかりいる人、と言うのはこの優越コンプレックス状態にあると言えそうです。
よくドラマに出てくるヒロインをいじめる意地悪ないじめ役、と言うのはこういった
優越コンプレックス役、と言うわけです。

「人の悪口を言うと歌が下手になる」

と言うジンクスがありますが、これは補償行動が取れず優越コンプレックスに走っていると
上手くなれない、という事を表していそうです。

コンプレックスにさいなまれている人もいるでしょう。
いやがらせを受けて傷ついた人もいるでしょう。
悪口を言ってしまった人もいるでしょう。
でも
コンプレックスは皆等しく持っているものなのです。

でもコンプレックスは人を成功に導いてくれる、バネでもあるのです。
あなたの補償行動、見つけてみませんか?

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